こども新聞「レッツエンジョイ!vol.4」考察
こんにちは。
この記事では、月刊こども新聞2024年12月号(FMふくやま)に出題した問題について考えていきます!
(今回の記事も、新コースの歩みに関するものではまりません。)
問題(法則を見つけよう!)
今回は、九九の「9の段」に注目します。実は「9の段」には、いくつかの法則が隠されています。その中にはみなさんが知らないものもあるかもしれません。ぜひその法則を見つけてみてください!(九九では目にしない9×10=90も含めて考えてみよう)
9×1= 9
9×2=18
9×3=27
9×4=36
9×5=45
9×6=54
9×7=63
9×8=72
9×9=81
9×10=90
ヒント:9×1=9の答えの9は、十の位が0だと考えてみましょう。
法則
① 答えの十の位と一の位の数を足すと9になる。
② 答えの十の位の数は、かける数から1引いた数になっている。
③ 答えの十の位の数は1ずつ増えていて、一の位の数は1ずつ減っている。
④ 9×1~9×5までの答えと、9×6~9×10までの答えは、順に左右対称の関係になっている。(例えば、9×5=45と9×6=54の答えも、9×4=36と9×7=63の答えも、互いに十の位と一の位の数を入れかえたものになってます。)
なぜ法則が成り立つの?
ここからは、なぜ法則①~④が成り立つのか、中学で学ぶ文字式を使って考えていきます。
九九の「9の段」はすべて、9×a(aは1から10までの整数)と表すことができます。中学では、9×aは9aと表すことを学びます。この9aは次のように形を変える(変形する)ことができます。
9a=10a-a
=10a-10+10-a
=(10a-10)+(10-a)
=10(a-1)+(10-a)
最後の式10(a-1)+(10-a)は、次の2つのことを表しています。
1.9aの十の位の数は(a-1)
2.9aの一の位の数は(10-a)
(※m、nをそれぞれ0以上9以下の整数とするとき、10m+nで表される数の十の位の数はm、一の位の数はnになります。)
このことを用いて、いよいよ法則①~④の「なぜ?」に迫ります。
法則①「答えの十の位と一の位の数を足すと9になる」について
9aの十の位の数と一の位の数を足すと
(a-1)+(10-a)=a-1+10-a
=a-a+10-1
=9
となり、和は9になります。
法則②「答えの十の位の数は、かける数から1引いた数になっている」について
9aの十の位の数は(a-1)、かける数はaなので、十の位の数は、かける数から1引いた数になっています。
法則③「答えの十の位の数は1ずつ増えていて、一の位の数は1ずつ減っている」について
9aの十の位の数は(a-1)、一の位の数は(10-a)であり、aを1ずつ増やしていくと、a-1も1ずつ増えていき、10-aは1ずつ減っていきます。
法則④「9×1~9×5までの答えと、9×6~9×10までの答えは、順に左右対称の関係になっている」について
次のように、(a-1)と(10-a)が順に、お互いに反対の関係になっています。
a=1のとき
a-1=0
10-a=9
a=10のとき
a-1=9
10-a=0a=2のとき
a-1=1
10-a=8
a=9のとき
a-1=8
10-a=1a=3のとき
a-1=2
10-a=7
a=8のとき
a-1=7
10-a=2a=4のとき
a-1=3
10-a=6
a=7のとき
a-1=6
10-a=3a=5のとき
a-1=4
10-a=5
a=6のとき
a-1=5
10-a=4
おわりに
今回の記事は中学で学ぶ文字式を用いたため、特に小学生のみなさんは難しく感じるかもしれませんが、文字を使って物事を抽象化することは数学ではとても重要な手法になります。
紹介した①~④の法則以外にも、「9の段」には驚くような法則が隠れているかもしれません。また、他の段にも色々な法則が隠れているかもしれませんね。ぜひ見つけてみてください!