中学2年生が大学院生に壁打ちしてもらったよ
こんにちは。福山暁の星女子中学校新コース推進プロジェクトです。
もはや、noteに書く書く詐欺になっていないか焦りを感じているのですが、生徒たちと一緒にちゃんと頑張って前進している証拠として、11月に行われた「大学院生&中学生Talk Event in zoom」の記録をご紹介します。暁の星の中学2年生は、ふだんはそれぞれの学びのタイプ「UpdateLearningコース」と「CreativeLearningコース」で学んでいますが、今回は学年全体で行いました。
中学2年生は実はとっても忙しい!
さかのぼること今年の夏休み。実は、宿題をできるだけ減らしませんかと各教科に相談をしていました。最低限必要な基礎学力系の課題は担保しつつ、いろんな教科に散らばっていた調べ学習系の課題を1つにしぼることで、やらされ感の課題を少しでも減らしたい。中2という時期は、自身のからだや心、家族、部活での役割などが中1に比べて大きく変化し、自分軸がぐらぐらゆれる時期です。だからこそ、夏休みは子どもたちが主体となって個人探究「とにかくたくさん◯◯する」の時間にして欲しいと思ったのがはじまりです。
個人探究「とにかくたくさん◯◯する!」は学びになるのか?
「個人探究」は、子どもたちの「好き」や「やりたい」から始められるというメリットがある一方で、体系的な学習構造が当事者の中に構築されないままになってしまうというデメリットもあります。ひょっとしたら私達教員が設定するテーマにそって探究する方が中2という学齢から考えると学びは大きく広がるかもしれない。でも、中学2年生の「好き」や「やりたい」は、大人の想像の領域を悠に超えていきます。この自由すぎるマインドに蓋をしない方法はないのか。この私達の考えを、愛媛大学教職大学院兵藤研究室の兵藤清一先生や院生の高橋朋子さんたちが情報活用能力の育成という視点で捉えなおしてくださいました。これは本当に心強い!!個人探究「とにかくたくさん◯◯する〜ワクワク発見!〜」が具体的に動き始めました。
気になるワードを情報検索で、ワクワク発見!
個人探究「ワクワク発見」では、子どもたちはまず、気になるワードをいくつかあげることから挑戦しました。それらを複数のメディアをつかってデータ検索することで、なぜ(Why)何なのか(What)どうすれば(How)という自分の問いが浮かびはじめます。なかには、その問いを解決するための課題として、取り組んでいくことや、やっていくことを思いつく生徒もいました。一方で、なかなか気になるワードが見つからない生徒もいます。その理由はさまざまとは思いますが、検索ワードを友だちどうしで共有し対話することを通して「あっこんな感じでいいんだ」といった雰囲気が広がり、最初の個人探究の壁は大部分がクリアできたようでした。たったひとことの気になるワードは、ワクワクしながら情報検索することで、一気に子どもたちの学びの範囲を拡張させます。
兵藤先生から「情報とは、社会の様々な事象や、その中にあるデータ、知識であり、私達が『考える(思考・判断・表現する)』ための材料となるもの」と教えていただきました。子どもたちがICTを活用しながらキーワードに紐づく情報を集めている様子をながら、こちらのはたらきかけの工夫によって、子どもたちは自分で問題を発見・解決したり、考えを形成していくために必要な能力をどんどん身につけるんだなあ…と強く感じました。
自分のワクワクを大学院生にTalkして、ワクワク発見!
子どもたちのワクワクは経験知の少なさゆえに限定的で、自身の枠組みからなかなか脱出できないこともあります。子どもたちが見ている部分は氷山の一角であり、見えない部分とつながっていることに子どもたち自身が気づいたらどうなるか。子どもたちの学びはもっと拡張し自走するはずです。今回のイベントは、生徒たちの内発的な動機(好きなこと、気になること、疑問に思うこと、不思議に感じること、考えてみたいこと、挑戦してみたいこと)が、大学院生との対話を通じて、多角的かつ多面的な視点で捉え直せるのではないか、という仮説のもと企画しました。一面的な視点を、多面的・多角的な視点へとレベルアップさせるため、「大学院生&中学生TalkEvent」という一石を投じました。
事前に子どもたちに呼びかけると「大学院生」という立場に興味津々。私としても大学院生=探究人というのはこだわったポイントだったので、その反応にシメシメという気持ちになりました。集まってくださったのは、上智大学実践宗教学研究科、神学研究科、グローバル・スタディーズ研究科、愛媛大学教育学研究科など7名の大学院生の方々。生徒たちとはまったく異なる視点の持っている方たちばかり。事前の打ち合わせで「いま学問している皆さんの探究心を中学生にぶつけて欲しい。」「自由な発想の中学生の興味関心を面白がって欲しい。」ことをお願いし、自ら手をあげた13名の生徒たちとの壁打ちが実現しました。
「スイスの音楽」「折りバラボランティア」「和楽器の衰退を止めたい」「世界一美味しいシュークリームとは」「なぜ私は途中から手を抜きがちなのか」「世界中の美術館に散らばる名画」「たくさん友達をつくる方法」「うさぎの幸せ」「ブラックホールから抜け出せる方法」など、ユニークなテーマを持つ生徒たちは、多様な学問領域を探究している大学院生の方々に、自分のワクワクやモヤモヤを12分間1on1を3セット、じっくりと聴いていただきました。生徒たちが使った紙芝居プレゼンテーション(KP)の資料を公開します!
子どもたちのワクワク発見の振り返りをChatGptで考察してみた!
イベント終了後、生徒たちは「どんな話をしましたか?新しく気づいたことは?もう少し聴きたかったことは?」の質問に答えてくれました。そして、今回の仮説の検証をChatGptにお願いしてみると…
「多くの生徒が新しい気づきがあったと答えています。中学生が大学院生との対話を通じて 視点の広がり や 探究の深まり を実感し、自分のテーマをより多角的に考える意識が高まっていることがわかります。また、日常生活や新しい視点から得られる気づきの重要性を認識し、主体的に楽しみながら学びを深めようとする姿勢が見られます。したがって、探究意欲が向上した可能性が大いにあります。」
「また、対話のプロセスそのものから得たものも多かったことがわかります。大学院生が自身の問いに寄り添い、丁寧に耳を傾けてくれたことに感謝していますし、やり取りを楽しみ、普段とは異なる学びの体験を得たと感じています。対話を通じて、自分の問いを再認識し、探究意欲が高まる体験になったことがわかります。大学院生の聞き手としての姿勢や寄り添う対応が、中学生の信頼感や安心感を生み、対話そのものを楽しむ姿勢につながったと感じています。」
《視点の広がりがわかる回答》
《探究の深まりがわかる回答》
《対話の心理的影響がわかる回答》
最後に…
子どもたちのワクワク発見のために、貴重な時間を提供してくださったすべての方に心より感謝申し上げます。生徒たちの「もっと聴きたい!」を読んでみると、まだまだ探究は止まりそうにありません。第2弾、第3弾と続きますように(^^)
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました!